大阪で生まれ、大阪庶民に育まれてきた「人形浄瑠璃文楽」
文楽といえば現在では人形浄瑠璃を指す代名詞になっていますが、
本来は操り人形浄瑠璃専門の劇場名のことなのです。
国立文楽劇場前の鏡開きです。
文楽は耳で聞く語り物音楽の「浄瑠璃」と、
視覚に訴える「人形」という
歴史的には全く別々に発達してきたものが、
室町時代後期に偶然に結び付いて成立した芸能です。
室町時代に流行った傀儡子の画像です。
人形の歴史は古く、神の依代や埴輪に代表されるように
人間の代わりをするものとして、
古代から人々の信仰と結びつく形で、
生活の中に溶け込んでいました。
やがてこの人形を操って芸を見せる傀儡子が現れ、
西宮戎神社を本拠とする芸人集団も現れました。
興福寺薬師三尊像です。
浄瑠璃とは仏教用語の「美しい珠」のことで、
万物が金・銀・珠珠からなる薬師如来の
浄土を表す言葉なのです。
天保13年浄瑠璃体系図から。
薬師如来の申し子とされた美しいお姫様(浄瑠璃姫)と、
奥州へ下る義経との恋物語が、
室町時代の琵琶法師によって語られると大流行し、
いつしかこの種の語り物が「浄瑠璃」
と呼ばれるようになりました。
文楽を上演する劇場に入ると、上手に客席に張り出すように
設置されている「床」と呼ばれる舞台が目に付きます。
ここで物語を語る「太夫」と三味線を弾く「三味線弾き」が、
浄瑠璃(義太夫節)を演じます。
竹本義太夫の肖像画です。
江戸時代初期に浄瑠璃から多くの流派が生まれ、
現在歌舞伎でおなじみの義太夫節、清元節、常磐津節
などを含め八流派が現在残っています。
引退された人間国宝の竹本住大夫さんです。
浄瑠璃本の文章には登場人物のせりふだけでなく、
その心理や情景までもが描かれています。
観客が目をつぶっていてもその場の情景が
浮かぶよう、語らなくてはなりません。
文楽人形です。
文楽人形は三人で一体の人形を操る
「三人遣い」の形を取っています。
人形浄瑠璃が始まったころは「一人遣い」だったようですが、
竹本義太夫や近松門左衛門が活躍した時代に
三人遣いに移行したようです。
文楽と云えば伝統芸能である人形浄瑠璃を指す
代名詞になっていますが、
本来は操り人形浄瑠璃専門の劇場名です。
代名詞となった文楽(座)について調べてみました。
文中使用しました画像はすべて借り物です。
次回もよろしくお付き合いください。
お願いします。
。